法律扶助事業の概要
1.民事法律扶助とは
民事法律扶助とは、民事裁判等の手続において裁判の追行に必要な費用を支払う資力のない国民等を援助するため、弁護士費用や司法書士の報酬を立て替えることにより憲法第32条に定める国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するものです。
2.民事法律扶助の内容
民事法律扶助法で定められている業務は次のとおりです。
@ 裁判援助
A 書類作成援助
B 相談援助
法律扶助を受けるには、日本司法支援センターの事務所に申込みをする必要があります。当該事務所が申込みを受ける方法としては、依頼者が直接当該事務所に申込む場合と、弁護士・司法書士を通じて申込む場合があります。
相談援助につきましては、相談費用をお返ししていただく必要はありません。これに対して裁判援助・書類作成援助では、原則として立替えを受けた費用をお返ししていただくことが必要です。
3.法律扶助の対象となる事件
裁判援助・書類作成援助の対象となる事件は、民事事件であれば事件の種類に制限はありません。裁判所における民事事件、家事事件、行政事件に関する訴訟、保全、執行、破産、非訟、調停、審判等の手続、これらの民事裁判手続に先立つ和解の交渉や民事裁判手続に必要な書類の作成が対象となり、原告、被告、申立人、相手方を問わず、また控訴、上告等の上訴事件でも扶助することができます。自己破産・個人民事再生も扶助の対象となります。
4.法律扶助を受けるメリット
法律扶助は、訴訟や調停の際に裁判所に納める訴訟費用、弁護士及ぴ司法書士の報酬、保全処分(差押え、仮差押え)等の保証金等を立替える制度です。裁判等をするのに経済的な余裕のない場合に、訴訟費用、弁護士の着手金については先に立替えを受けて、手続が開始されてから分割して償還することになります。保全処分が必要な場合は、支払保証または保証金の立替えを受けることができます。事件の終結の際、立替金の残額が確認され、一時に、または割賦で償還されることになります。生活保護を受けているとなど、償還が困難な事情がある場合には、償還の猶予・免除を受けることができます。
5.扶助基準
扶助基準としては次の3つの基準となります。
@ 資力に乏しい者であること
A 勝訴の見込みがないとはいえないこと
B 法律扶助の趣旨に適すること
6.法律扶助申し込みに必要な書類
法律扶助申し込みに必要な書類は、@申込書、A資力を証する書面、B住民票 (本籍の記載があるもの)などです。
7.資力を証する書面の種類
従来の審査墓準では、@生活保護受給証明、A生活状況調書 (民生委員等の意見書)、B給与証明書またぱ源泉徴収票、C課税・納税証明書・非課税証明書、Dその他、のいずれかの証明を得ることとされています。
相談援助のみの場合は、上記の書類等をお持ちでないときは口頭での申し出でも結構です。
8.資力基準と居住地域
従来の審査基準では、収入の基準は次のとおりとなっています。 (平成11年4月現在)
(いずれも手取り月収)
単身者 182、000円以下
2人家族
251、000円以下
3人家族 272、000円以下 4人家族
299、000円以下
ただし、都市部では、この基準額に10%を加えた額が基準額となっています。
9.立替費用の範囲
立替えられる費用は、
(1)裁判援助 @実費、A着手金、B保全処分の保証金、C 弁護士・司法書士の報酬金
(2)書類作成援助 @実費、A司法書士の報酬金
実費には、印紙代、鑑定料等が含まれる予定です。自己破産事件については、予納金は本人負担になると思われます。
10. 弊事務所の対応
弊事務所では、簡易裁判所の裁判援助、相談援助および書類作成援助で法律扶助事業に協力しております。先ず、ご連絡下さい。